無給の長期インターンは違法?請求方法と避ける方法を徹底解説
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「給料が出ない」「無給で働かされる」「最低賃金を下回る給与分しか払われない」このようなインターンは違法です。
短期インターンは給料が発生しない場合が多いですが、長期インターンは基本的に給料が発生します。
最近では、このようなインターンのことを「ブラックインターン」と呼ぶ場合も多いです。
本記事では、どのような場合が違法なインターンに当たるのか?という解説から、インターン先に未払い給料を請求する方法、ブラックインターンを避ける方法まで徹底解説します。
本記事を読んで、ブラックインターンの特徴について理解し、違法なインターン先を避け、充実したインターンライフを送りましょう!
目次
無給の長期インターンは違法? 無給の短期インターンは違法? 給料の未払いは請求できる? 違法なインターンの具体例 給料が出ない/無給の長期インターン先を避けるための方法 無給の長期インターンに関するよくある質問 まとめ無給の長期インターンは違法?
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結論から言うと、無給の長期インターンは違法です。
ですが、短期インターンなど、無給の場合でも違法にならないインターンもあります。
本章では、インターンはどのような場合に違法になってしまうのか?ということを解説します。
自分のインターン先が該当しないかチェックしてみましょう。
労働になる場合、無給は違法になる
インターンは「労働」になる場合だと給料が発生します。
短期インターンは、会社の職業体験の意味合いも含まれており実際の業務を行うことがほとんどないので、「労働」には基本的に該当しないので、給料が発生しない場合が多いです。
ですが、長期インターンは「3ヶ月以上の勤務が前提」であり、社員と同じように扱われ、業務を遂行していく場合がほとんどです。
なので、長期インターンは「労働」に該当する場合が多く、企業側はインターン生に対して給料を支払う義務が発生します。
厳密に言うと、長期インターンに参加している時間が「労働時間」に該当する場合、無給は違法になります。
では、どのような場合が「労働 (労働時間)」に該当するのでしょうか?
長期インターンが労働に当たるための要件
長期インターンが「労働(労働時間)」に該当するための要件は以下の5つです。
①労働の対価としての報酬の有無
無給のインターンシップであっても、その他の形で経済的な利益(例えば宿泊施設や交通費の提供)を提供している場合、労働に該当する可能性があります。
②業務の性質と企業への貢献度
インターンが企業の正規の業務を行い、企業の利益に直接貢献している場合(例えば、製品の製造ラインで働く、顧客からの注文を処理するなど)、それは労働とみなされることがあります。
③指導と教育の実質的な提供
インターンシップが実質的な教育や指導を提供せず、単に労働力として利用されている場合は、労働関係にあると見なされやすいです。
④代替性
インターンが正社員やアルバイトを代替する形で業務を行っている場合、これは労働関係とみなされる可能性が高いです。
⑤就労条件
労働時間や労働の強制性(出勤の義務化、厳格な時間管理など)が、通常の雇用関係と同様であれば、労働と判断されることがあります。
このような要件を考慮し、「労働」に当てはまる場合は、企業は学生に対して給料を支払う義務が発生します。
インターン先が上記要件に当てはまるのに、給料が未払いの場合は給料を請求することができます。
未払い給料の請求方法は記事の後半で解説します。
最低賃金を下回っている場合も違法
無給の場合はもちろんですが、最低賃金を下回っている場合も労働基準法に違反しているので、違法です。
なので、「自分のインターン先は給料を支払ってくれているから大丈夫」と思わず、実際に給料を働いた時間で割ってみて、最低賃金に到達しているか確認することをおすすめします。
もし、最低賃金を下回っていた場合は違法になるので、最低賃金分までなら給料を請求することが可能です。
また、最低賃金は地域によって異なります。東京都の最低賃金は1,163円です。
以下の厚生労働省のサイトから確認しましょう。
無給の短期インターンは違法?
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短期インターンは1日〜数週間の期間で開催されるインターンです。
企業説明や社員座談会などがプログラムの内容で、就活生に対して企業理解を深めてもらうために行われることが多いです。
無給の長期インターンは違法になる場合が多いですが、短期インターンは無給でも違法にならない場合が多いです。
労働にならなければ無給は違法ではない
前章で解説した通り、インターンは「労働」に当たるか当たらないかで給料が発生するかどうかが決まります。
短期インターンは、会社説明会・社員座談会など、企業理解を深めるために開催される場合が多いです。
実際にジョブやワークと称し、学生に実際の業務に近い内容を体験させる場合がありますが、企業の利益に繋げるためではなく、学生のスキル・素質を見るための目的で開催されるため、労働に該当しない場合が多いです。
なので、「労働」に該当しない短期インターンは給料が出なくても違法ではありません。
労働になる場合は短期インターンも違法
短期インターンでも「労働」に当たる場合は給料の支払い義務が発生します。
違法かどうかの判断基準は「長期インターン」と同じです。
- 短期インターンなのに企業の利益に直接貢献するような業務をさせられる場合
- インターン生の教育・訓練が主目的でない場合
このような短期インターンは、「労働」に該当するので、給料の支払い義務が発生します。
給料の未払いは請求できる?
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前述した通り、「労働」に該当する短期・長期インターンに参加したが、「無給」「給料が未払い」という場合は給料を請求することができます。
これから、「どのように未払い分の給料を請求すればいい?」「給料はいくらで計算して請求すればいいのか?」といった、給料の請求方法について詳しく解説していきます。
未払い分は最低賃金で請求する
未払い分の給料は最低賃金で計算して請求することができます。
最低賃金には以下の2種類があります。
上記2種類の最低賃金で計算して、高い方の金額で請求することができます。
特定最低賃金が適用される具体的な業種・職種の例は以下です。
- 電子部品製造業
- 電子デバイス製造業
- 電気機械器具製造業
- 自動車製造業
- 航空機製造業
残業代も請求できる
インターンであっても未払い給料に加えて残業代を請求することができます。
日本の労働基準法では、1日8時間、週40時間を超える労働には割増賃金(通常は基本給の25%増し)の支払いが義務付けられています。
この法律に基づいてインターンであっても未払い分の残業代を請求することができます。
未払い請求の手続きの流れ
未払い給料を請求する流れは以下のような流れです。
- 確認作業
- 協議
- 書面による請求
- 労働基準監督署への相談
- 法的措置の検討
STEP1.確認作業
まず、未払いとなっている給料の期間と金額を正確に確認します。給与明細、勤怠記録など、自分の労働時間や給料の計算が正しく行われているかを検証することが重要です。
STEP2.協議
会社の人事部や経理部、直属の上司に未払いの事実を報告し、話し合いを求めます。
多くの場合、誤解や手続きの遅れが原因であることが多いので、まずは社内で解決を試みることが望ましいです。
STEP3.書面による請求
口頭での請求に応じない場合は、書面による請求を行います。
内容証明郵便で送ると、送付した事実が記録として残るため、法的な証拠として有効です。請求書には未払いの給料の金額、期間、支払いを求める理由を明記します。
STEP4.労働基準監督署への相談
社内での解決が困難な場合、最寄りの労働基準監督署に相談します。
労働基準監督署は労働問題に関する公的な相談機関であり、無料で助言を得ることができます。
必要に応じて、監督署から企業に対する是正指導が入ることもあります。
STEP5.法的措置の検討
相談や交渉が解決に至らない場合、労働審判や民事訴訟を検討します。
これは、法的な手続きを通じて未払い給料の支払いを求める方法です。
この段階で法律の専門家、特に労働問題に精通している弁護士に相談することが重要です。
給料の未払いに関する相談先
給料の未払いに関する相談は、弁護士または労働基準監督署に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、法的な視点からのアドバイスを受けることができ、必要に応じて未払い給料に関する交渉や、訴訟を行う際の代理人としてサポートを受けることもできます。
また、相談先として「労働基準監督署」が非常におすすめです。
労働基準監督者は、労働法違反を監督し、労働者の権利保護を支援する政府機関です。
未払い給料の問題について無料で相談に応じ、必要に応じて是正勧告や是正指導を行うことができます。
無料で相談できるので、未払い給料で悩んでいる方は一度相談することをおすすめします。
以下は労働基準監督署の公式HPです。
違法なインターンの具体例
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ここまでは、未払い給料に対する対処法や、具体的な請求方法について解説してきました。
ここからは「給料がでないインターン」など、違法なインターン先の具体例について解説・紹介していきます。
具体例にあてはまるような企業・インターン先はできるだけ避けることをおすすめします。
長期インターンなのに無給での求人募集
長期インターンとして求人を募集しているのに、雇用条件を見ると無給という場合があります。
前半部分でも解説した通り、「長期インターン」は、ほとんどの場合が給料が発生します。
なので、「無給」で募集している場合はブラックインターンの可能性が非常に高いです。
また、雇用条件に「無給」と書いてある企業でインターンに参加した場合は、後から給料を請求することが難しくなります。
このようなことを避けるためにも、長期インターンに応募する際はしっかりと条件・募集要項を確認することが大切です。
また、求人を探す際には、なるべく「質の高い求人」が多く掲載されている求人サイトを利用することもポイントの1つです。
時給が最低賃金を下回っている
募集要項の時給が最低賃金を下回っている場合も「違法な長期インターン」です。
長期インターンは基本的に「労働」に該当するので、給料の支払い義務が生じます。
給料の支払いは労働基準法で定められている最低賃金以上の金額を支払わなければなりません。
ですので、最低賃金以下の給料を設定している企業は違法であり、法を犯している企業なので、その他の面でも信頼がおけない企業といって良いでしょう。
長期インターンに応募する場合は、しっかりと給料を確認し、違法なインターン先を避けるようにしましょう。
給料が出ない/無給の長期インターン先を避けるための方法
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給料の未払いを避けるために、しっかりと長期インターン先を選ぶことが非常に大切です。
本章では、違法な長期インターン先を避けるための方法を3つ紹介します。
①求人情報をしっかりと確認する
②企業の情報をリサーチする
③質の良い長期インターン求人サイトを利用する
上記が「給料が出ない/無給の長期インターン先を避けるための方法」です。
1つずつ詳しく解説していきます。
①求人情報をしっかりと確認する
違法な長期インターンを避けるためには、まず求人情報をしっかりと確認することが大切です。
特に「給料・報酬」の欄を確認し、最低賃金を下回っていないかをチェックするようにしましょう。
②企業の情報をリサーチする
長期インターンに応募する際は、企業の情報をしっかりと自分でリサーチするようにしましょう。
求人サイトに掲載されている情報だけでなく、企業の公式HPで事業内容を確認したり、企業のSNS・口コミまでしっかりと確認するようにしましょう。
③質の良い長期インターン求人サイトを利用する
「給料が出ない・無給の長期インターン先」を避けるための方法として1番効果的な方法は、質の良い長期インターン求人サイトを利用することです。
大手企業が募集をしている求人サイトなどは信頼性が高いと言えるでしょう。
また、特におすすめな長期インターン求人サイトは「UT-Board」です。
UT-Boardは高学歴の学生が多数登録しており、企業側も優秀な人材を求めているので、そもそも掲載される求人の質が非常に高いです。
ブラックインターンを避けるためにも、質の良い長期インターン求人サイトを利用することが大切です!
無給の長期インターンに関するよくある質問
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ここからは、「給料が出ない」「無給」の長期インターンに関するよくある質問を紹介していきます。
長期インターンとして働いていたが、給料が出ませんでした。請求できますか?
できる場合とできない場合がありますが、ほとんどの場合請求できます。
雇用契約で報酬が「無給」と明記されている場合に関しては、契約に同意したことになるので、後から未払い分の請求をすることが難しくなる可能性があります。
ですが、法律で定められた労働条件(業務内容、勤務時間、報酬の有無など)に違反している場合は、給料を請求できる可能性があります。
また、上記以外の場合は未払い分の給料を請求することができます。
未払い給料の相談はどこに行けばいいですか?
弁護士や労働基準監督署に相談をしましょう。
弁護士は相談料金がかかる場合があるので、無料で相談できる労働基準監督署の方に相談することをおすすめします。
まとめ
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いかがだったでしょうか?
基本的に長期インターンは「労働」に該当するので、給料の支払い義務が発生します。
給料が発生しない長期インターンは基本的に違法です。
本記事では、無給の長期インターン・短期インターンがどのような場合に違法なのか、未払いの給料の請求方法、給料が出ない場合の相談先、無給の長期インターンを避ける方法まで徹底解説しました。